プレスリリース
2008年6月25日
基本波で2.5GHz、±200×10-6の高周波・高安定度を実現
オリジナル水晶カット角で高性能なSAW共振子「NS-34R」を開発
エプソントヨコム株式会社(社長:宮澤 要)は、この度、SAW共振子*1の設計技術と、超精密製造技術を融合し、基本波で共振周波数2.5GHzという高周波に対応しながら±200×10-6という高い周波数安定度*2を達成したSAW共振子「NS-34R」を開発しました。2008年度中の商品化を目指しております。
「NS-34R」は、2-port構造をもつ共振子であり、発振回路を設計する上で重要なQ値*3(負荷Q)が1000、挿入損失は6dBという優れた共振特性を有し、さらに+10dBm以上の高電力の印加が可能です。
この「NS-34R」の特長である高い周波数安定度を活かして発振器を構成した場合、低位相雑音特性、低ジッタ特性や、優れた発振信号の高速起動や低消費電力の提供が可能になります。
よって、マイクロ波以上の周波数では、高周波、高精度クロックを必要とする無線通信や計測器等の用途で、アプリケーションの飛躍的な性能向上の実現に貢献します。
基本波で高周波を実現するには、STW*4水晶素材を使用した従来技術が一般的ですが、周波数温度特性が、電極材料とその膜厚による依存性が大きく、共振子の高精度化が非常に難しいという課題がありました。
エプソントヨコムでは、800MHzまでの共振周波数では既に量産実績のある、オリジナルSTカットによる水晶SAW共振子をベースに、IDT*5の微細化及び安定化等の製造技術により、従来のSTWに比べて3倍優れた周波数温度特性を有し、初期周波数偏差、周波数温度特性及び経時変化を含む周波数安定度を±200×10-6で、共振周波数上限を2.5GHzまで対応可能としたSAW共振子を開発しました。
今後エプソントヨコムでは、この「NS-34R」を使用した、GHz帯の基本波発振周波数を出力可能とする、水晶SAW発振器及び、電圧制御型水晶SAW発振器(VCSO)等も商品化する予定です。また、±100×10-6というさらに高い周波数安定度の商品も開発中です。
| 項目 | 標準仕様 |
| 公称周波数範囲 | 800MHz ~2500MHz |
| 周波安定度 *2 | ±200×10-6 |
| 頂点温度 | +37.5℃ ± 20℃ |
| 二次温度係数 | (-0.016±0.004) ×10-6/℃2 |
| 動作温度範囲 | 0℃ ~ +75℃ (広温度範囲対応の商品も開発中) |
| 外形寸法(mm) | 3.8 × 3.8 × 0.98t |
*1 SAW共振子
表面弾性波を用いた水晶振動子。搬送波と同一の周波数である高周波を基本波発振にて提供でき、かつ、直列抵抗が非常に小さいことから、車載用キーレスエントリーシステムや、特定小電力システムの基準クロックとして使われております。
エプソントヨコムでは、SAW共振子を1997年に商品化し、市場へ提供してきました。
また、2002年より、弊社オリジナル技術によって、二次温度係数が一般的なSAW共振子(STカット)の半分以下の優れた周波数温度特性を実現した商品を提供しております。
*2 周波数安定度
初期偏差、周波数温度特性及び経時変化
*3 Q値
主に振動の状態を現す無次元数。弾性波の伝播においては、媒質の吸収によるエネルギーの減少に関係する値です。振動においては、一周期の間に系に蓄えられるエネルギーを、系から散逸するエネルギーで割ったもので、この値が大きいほど振動が安定であることを意味しています。
*4 STW
横波の表面波の一つで,STカット水晶SAWの1.6倍音速が速いので高周波化に有利です。
一方、周波数温度特性はSTカット水晶よりやや劣ります。
*5 IDT
くし型電極。水晶基板上に規則性をもって形成された電極です。IDTの構造周期と電極の物性により、共振子の中心周波数や、フィルタの帯域を決めることができます。
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