新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。
世界同時不況により、従来にない厳しい環境の中で新年を迎えました。水晶デバイス業界もこの影響を受けており、誠に遺憾ではありますが、弊社も昨年の10月末に年度の業績予想を下方修正いたしました。修正幅は業界並みとなっており、大きくは外部環境の変化に起因するものと理解しております。
この不況はしばらくは続くものと予想しておりますが、単に景気回復を待つのではなく、経済が成長に転じた時に弊社も大きく飛躍できるよう、この期間にすべきことを為すのが経営者の役目だと考えております。
第一に、高付加価値商品群の開発です。
昨年もこの場で小型・高性能の水晶デバイスの開発について触れましたが、この1年間で多くの成果を上げることができました。
例えば、日本最大のエレクトロニクスショー“CEATEC Japan 2008”において、他社に先駆けて世界最小となる1.6×1.2㎜サイズのTCXO(温度補償水晶発振器)を動作させながらの参考出展をいたしました。この1世代前のサイズである2.0×1.6mmサイズは、公表からおよそ2年後にお客様にご採用いただけましたが、同様に2年後の採用を目指して事業化を進めてまいります。
他にも、世界最薄の音叉型水晶振動子や、世界最小のリアルタイムクロックモジュールなど、ますます進むデジタル携帯機器の小型化に貢献する高付加価値商品を次々と発表させていただいております。
また、通信分野や計測器分野で注目されるGHz帯のクロック用途として、2.5GHzまでの高周波に対応するSAW(弾性表面波)共振子/発振器の開発や、水晶を素材にした新たなセンシングデバイスとして、世界最高レベルの精度でありながら従来では考えられないような小型化を達成した水晶圧力センサの開発にも成功しております。
開発完了後、お客様へのご紹介やお客様での評価期間がありますので、これらの新商品が業績に寄与し始めるのは、今から2~3年後になっていくと考えられます。不況期だからといって単純に開発投資を減らしてしまいますと将来の事業の芽を摘んでしまうことになりますので、新商品の開発は継続していかなくてならないと考えております。
第二に、競争力のある事業体質への変身を図ります。
急増する需要に対応する好況期では、お客様にご迷惑をお掛けしないよう供給に力を入れてまいりました。需要にお応えするのに多くの力を注いでおりましたが、不況期には生産調整や在庫管理を強化するだけでなく、事業体質を変えるという意味では、チャンスだと考えております。
例えば、昨年に相次いで完成したタイと中国(無錫)の新工場は、増産の目的に加えて生産の再配置や集約を可能とする「受け皿」としての役割も担っており、海外生産比率の拡大などの生産の効率化を図ることができます。
生産拠点の再配置や集約による効率化だけでなく、事業活動の基本であるQCD(品質、コスト、デリバリー)を始め、生産拠点のリスク分散等の全ての分野で、リーディングカンパニーにふさわしいレベルを目指してまいります。
第三に、成長が見込まれる新分野へのリソースの配分です。
水晶を材料にした弊社のジャイロセンサは、素材としての水晶の安定性や弊社独自の構造による高性能がお客様より評価をいただいており、事業も徐々に拡大しております。センシングデバイスは、従来の水晶デバイスにはない新しい分野であり、弊社が先駆けて手がけてきた分野です。他のセンサも含めて、この新しい分野のデバイスを新しい事業の柱として育ててまいります。また、デバイス単体だけではなく、付加価値の高いモジュールやシステムとしての提案も拡大してまいります。そのために必要なリソースの再配置も実施します。
第四に、電子デバイスの世界でも環境を意識した活動の取り組みです。
親会社のセイコーエプソンでは環境活動の長期的な指針をまとめた「環境ビジョン2050」を昨年策定しました。 我々も基本はこのビジョンに則りながら、電子デバイスにおいても環境を意識しご提示できる指標なども検討していく必要性を感じており、取り組みを始めております。
例えば、“CEATEC Japan 2008”において、弊社の新製品の環境負荷低減の指標として、設計から、製造、輸送、実際に使用されて廃棄されるまでのライフサイクルにおけるCO2の削減について展示をさせていただきましたが、これは電子部品業界では先駆者的な取組みです。
このような取組みは、まだまだスタートしたばかりですが、経営理念である「信頼された良い会社」を目指すためにも、環境への取組みを意識した活動を実施し、それを皆様にご提示していきたいと考えております。
弊社は2010年度に売上高1,500億円、経常利益率15%以上という中期目標を掲げてまいりましたが、この不況により、目標達成は幾分遅れが出ると考えております。
足下の業績は非常に厳しいものですが、長期的な水晶デバイスの成長基調は変わりありませんし、加えて弊社では水晶の可能性を引き出した新しい分野の水晶デバイスの事業化も進めているため、達成時期は遅れるものの、目標数値には変更はありません。
目標を早期に達成するためには、景気回復期に向けて成長のための種を蒔いておくことが必要です。自動車に例えるなら、整備をしっかりと行い、ガソリンも満タンにして、エンジンキーを回してアクセルを踏めばいつでも全速力で走り出すことができる状態にしておくことです。この不況期をいかに過ごすかが非常に重要となっておりますので、気を引き締めてエプソントヨコムの舵取りに励んでまいります。
エプソントヨコム株式会社
代表取締役社長






